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鬼 谷 子きこくし


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鬼 谷 子きこくし


鬼谷子・解説

「鬼谷子」は中国の戦国時代(前475~前221)に活躍した遊説の士、「蘇秦・そしん(?~前317)」が自分の実行した外交・謀略の結果について考えたものを整理記述したもので、国際謀略の原典とされている。鬼谷子という架空の人物を著者としたのは、この書に神秘性を持たせて権威を高めようとしたためと云われている。「揣摩憶測」「権謀術数」等の名言の出典とも伝わる。前漢の「劉向(前77~前6)」が編纂して名付けた「戦国策」には戦国乱世が生み出す人間の智謀の極致とその原典が収められている。その戦国策の中で具体的な外交・謀略を剣戟を用いず「行動」と「言葉」で演出する蘇秦・張儀らが用いた「対人兵法」が「鬼谷子」である。


開 閉かいへい

  1. 外交謀略の秘訣は駆け引きである。情勢変化を見極め、積極・消極の両策を巧みに使い分けねばならない。陰陽・柔剛・弛張・短長・賢不肖・知愚・勇怯・進退・攻防・貴賤 陽は動いて行くことであり、陰は止まって自重することである。陽がきわまれば陰となり陰がきわまれば陽にかえる。「陰陽を適切に対応させること」、それが開閉である。

反 応はんのう

  1. 一石を投じてみよ。相手の本心をとらえるには「網を張って待ちかまえ、一石を投じて相手を釣り出してとらえる。」あらかじめ十分用心してまちかまえ、餌になるような言葉の糸口を投げかけて、相手に発言させて、これをとらえ、それをある物差しによって判断すれば相手の意志や企図を知ることができる。

内 揵のうけん

  1. 内揵とは「自分の意見を述べること」、揵とは謀をたてることである。相手に納得してもらうにはその前に相手の心理を洞察し、受入れ気分を醸成しておく。まず君主の心理状態を確かめ、事の成否を判断して、成功の見通しをつけてから実行にとりかかる。

虚 隙きょげき

  1. 相手の弱点を狙え。「物事は一定の理にもとずいて動いている」、この理を知ればその情勢変転のうちに必ず虚隙を発見できる。弱点を萌芽のうちに察知してこれに乗ずることが肝要である、その虚隙に対して適切な手を打ち、そのときの事態に最も適した方法をとることが大切であるが、その方法は状況によって千変万化する。

飛 箝ひかん

  1. 君主に対し、「人物評価と登用の途を説く進言・謀施の要領」である。飛 とは言わせたり、発言を押さえたりすることである。言葉を誘い出して本心を確かめ、その本来の姿を暴露させてその意図・能力を知る。諸侯に対して対抗・随従、その言に対して賛同・反対を以て自分の思うようにしてしまう。

反 合はんごう

  1. 去就は幾度か試みた後、これを決せよ。反合とは「離反・合体、即ち去就である。」古の反合の道をよくして誤らない者は広く天下を見渡し諸侯にあたり、仕えるべき主の候補を選びこれに反合の術を施し、去就を知り、天命を知る。心労、思苦の後、根源を極め、心を尽くして事を行い名を揚げる。反合の道、自らの才智を知り彼我の優劣を知る。

  1. 揣は「はかる」である。国事をはかるには詳らかに権量し、人主に説くには詳らかに揣情せよ権量とは国力の要素について、量や強さを具体的に算定することである。揣情とは人の心理状態を判断することである。「心は必ず形となって外に現れる」、これを深く測り情を揣る揣情はすべての謀の根本であり、説得術の基本原則である。

  1. 摩は「さする」である。相手の身体を刺激して、「心に反応を起こさせてその心そのものを知る」、相手の内心に類する方法で摩を施せば内心は必ず反応を表現する。摩は揣の手段である。摩の術の機微を知るものは、時期を失しない。成功しても止どまらず速やかに去り、その駆け引きは適切巧妙であり、これを続けてついに天下の教化と統治に成功する。

けん

  1. 権は「はかり」である。相手の能力・意志・物事の利害・優劣などを合理的に計算してよく確かめる。これによって相手の短所を確かめこれにまさる我が力を指向する、説得も謀計も相手を見て方法を選ばねばならない、どんな人間にも泣きどころはある。ここを狙って施せば必ず成功する。

ぼう

  1. 謀は「はかりごと・方法・手段」である。人を説得するには相手の状態に対応する手を打つ。「その因るところを得て情を求める」何事も原因があって、これから事が発生し、これによって謀が生じる。相手の性質と心境に適応するような手を打って成功に導く。

けつ

  1. 決とは「人のために疑い・迷いを決すること」、迷っている者に決断させてやることである。決とはそれによって利がなくてはならない。利がなくては受け入れられない故に奇を用いる。情を決し疑いを定むるは万事の機にして、以て乱治を正し成敗を決す、成し難きものなり筮亀なるを用いて以て自ら決す。

符言ふげん

  1. 言と事実が割り符のように合う術の奥義。君主たるの奥義は「安徐正静」、君主は物の理を知らなくてはならない、その為には長目・天下の目。飛耳・天下の耳。樹明・天下の心を効かせる、これを洞察という。

-- 参考文献 --

■「兵書抜粋」大橋武夫著 私家版(1976)■「兵書研究」大橋武夫著 日本工業新聞社(1978)■「統帥綱領」大橋武夫著 建帛社(1972)■「秘本兵法・三十六計」大橋武夫著 徳間書店(1981)■「鬼谷子」大橋武夫著 徳間書店(1982)■「闘戦経」大橋武夫著 私家版(1982)■「兵法経営塾」 大橋武夫著 マネジメント社(1984)■「新釈孫子」 武岡淳彦著 PHP研究所(2000)■「日本陸軍史百題」武岡淳彦著 亜紀書房(1995)■「弱者の戦略・強者の戦略」武岡淳彦著 PHP研究所(1989)■「兵法と戦略のすべて」武岡淳彦著 日本実業出版社(1987)■「兵法を制する者は経営を制す」武岡淳彦著PHP研究所(1983)■「中国古典新書六韜三略」岡田脩訳 明徳出版社(1979)■「孫子呉子全訳武経七書」守屋洋・守屋淳著 プレジデント社(1999)■「司馬法、尉繚子、李衛公問対、全訳武経七書」守屋洋・守屋淳著 プレジデント社(1999)■「六韜、三略、全訳武経七書」守屋洋・守屋淳著 プレジデント社(1999)■「中国古典名著・総解説」自由国民社(1982)■「東洋文庫 戦国策1.2.3」常石茂訳 平凡社(1966)■「五輪書」神子侃 徳間書店(1976)■「宮本武蔵」大倉隆二著 吉川弘文館(2015)■「五輪書」渡辺一郎 校注 岩波文庫(1989)■「兵法家伝書」渡辺一郎 校注 岩波文庫(1985)■「物語柳生宗矩」江崎俊平著 社会思想社(1971)


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電子書籍

「兵法小澤様問対」
上・中・下

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(兵法塾外伝 平成・令和)

2009年の3月14日に初めて「小澤様」からの掲示板への書き込みがあり、その都度、拙いご返事をお返ししてきましたが、いつの間にか14年も経過して、世相も時代も大きく変化してしまいました。その時勢に応じた大橋武夫先生、武岡淳彦先生の著書やエピソード及び古典、ビジネス書をテーマにした「小澤様」との掲示板での対話が日々研鑽の証となり、個人的にも人生の貴重な足跡となりました。2013年頃より大橋先生の「お形見の書籍」を電子書籍として作成させて頂いていましたが、この度、「兵法塾・掲示板」での「小澤様」との兵法に関するやり取りを、保存と編集をかねて電子書籍として公開させていただきます。引き続き、ご指導ご鞭撻を賜れば幸甚でございます。
兵法 小澤様問対 上 【9】~【59】2009(平成21)年3月14日~2010(平成22)年6月26日
兵法 小澤様問対 中 【60】~【115】2010(平成22)年7月28日~2013(平成25)年2月17日
兵法 小澤様問対 下 【116】~【178】2013(平成25)年3月3日~2023(令和5)年1月5日

2023年12月

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(ヘイホウドットコム)編集・著者



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「千に三つの世界」

兵法塾外伝・昭和 平成

千に三つの世界から明日の
自分を見つけよう!!

昭和から平成のコンピューター業界と情報の本質について個人的な体験を基に追求してみました。2000年から運営する「兵法塾」サイトの外伝として公開させていただきます。

2023.10.01

千に三つの世界

電子書籍「千に三つの世界」


兵書抜粋 兵書抜粋
兵書抜粋闘戦経
兵法を制する者は経営を制す 弱者の戦略・強者の戦略
兵法を制する者は経営を制す 弱者の戦略・強者の戦略

【 兵書抜粋・闘戦経 】

1987年の暮れに大橋先生の奥様より、お形見分けとして先生の蔵書を「兵法経営研究会」に分けていただくことになり、事務局の中内さんより希望の書籍を聞いて来られたので、「兵書抜粋」と「闘戦経」をお願いしたら、会長の竹林さんより丁寧な手書の宛名と包装で、それぞれ十冊ずつ実家に送って頂いた。「兵書抜粋」は1962年にベストセラーになった「兵法で経営する」を復刊されるにあたり「多忙な皆さんに、手っ取り早く兵法をわかっていただけるよう、これまでに蓄積した私の知恵のありったけを絞り出して、新たに書き下ろした。」と言われているように兵法経営の原典「兵法で経営する(復刊)」1977年の特別な付録として初めて世に出されたもので、その後1980年開講の「兵法経営塾」の基本教科書(小冊子)として活用された。 「闘戦経」は大江匡房(1041~1111)著伝で明治初期に研究者により毛利家の書庫より呉の海軍兵学校に伝わった。戦後の1962年頃、兵法経営を研究されていた大橋先生に東部軍参謀時代の参謀長高島辰彦氏より秘蔵の一本(昭和九年木版刷)が下された。開講三年目頃の「兵法経営塾」では鬼谷子や三十六計とともに日本の闘戦経も教材になり、当時は私家版として出版された「闘戦経」が「兵書抜粋」とともに重要な教科書となった。塾生たちが細やかな喜寿のお祝いをしたら先生はそのお礼に「兵法経営塾」(1984マネジメント社)を出版された。「闘戦経」は、その付録として初めて世に広く公開されたものです。「兵書抜粋」「闘戦経」は一般の書籍として刊行されたものではなかったが、先生のご遺族にご無理をお願いして2013年に電子書籍として公開させて頂きました。「兵書抜粋」には大橋先生が抜粋された、「孫子・君主論・政略論・戦争論・統帥綱領 統帥参考・作戦要務令」が収録されています。その他の兵書はWebサイト「兵法塾」https://www.heihou.com/を主宰するにあたり自らの研鑽をかねて大橋先生・武岡先生の著書とその他の古典を参考にして抜粋収録したものです。Mobile用の「兵法塾」に収録できなかったものを新たにWebサイト「兵書抜粋」として公開させて頂きました、お役にたてば光栄です。

-- 2022.12.08 サイト主宰者 --


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