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ランチェスター


ランチェスター・解説

「ランチェスターの法則」は1914年イギリスのフレデリック・ランチェスター(1868~1946)によって発表された戦闘における兵力の割合と損害量の間に秘められている一定の法則性を示したものである。ランチェスターの自動車工学エンジニアとしての技術的発明や航空工学者としての研究見識に基づいた提言によりイギリス政府は世界各国にさきがけて空軍省を創設したと云われる。ランチェスターの運用面での研究は「実際の戦闘において飛行機が何機と何機で戦ったら何機が撃墜されるか」を科学者らしい精緻なデータの収集分析によって探究しさらに海上戦闘および陸上戦闘の資料を研究して二つの法則を見出した。


ランチェスター第一法則

「一騎討ち理論」

お互いが「原始兵器(刀槍)」を使って戦う

A赤軍VSA赤軍

B 青軍30 対 A 赤軍50

戦闘・前

戦闘結果

B 青軍 全滅 対 A 赤軍 残存兵力20

戦闘・後

「一騎討ち理論」

限られた戦域で敵味方お互いが原始兵器(刀槍等)を使って戦った場合の戦闘結果は、お互いの初期兵力の差がそのまま勝ち残った方の「残存兵力」となる。
50人のA軍30人のB軍が戦えば、「50-30=20」で、B軍が残存兵力「0」、A軍が残存兵力「20」となる。

  

ランチェスター第二法則

「集中効果理論」

お互いが「確立兵器」を使って戦う

A赤軍VS A赤軍

B 青軍30 対 A 赤軍50

戦闘・前

戦闘結果

B 青軍 全滅 対 A 赤軍 残存兵力40

戦闘・後

「集中効果理論」

限られた戦域で敵味方お互いが確立兵器(自動小銃等)を使って戦った場合の戦闘結果は、お互いの初期兵力の自乗の比がそのまま勝ち残った方の「残存兵力」となる。
50人のA軍30人のB軍が戦えば、「50の二乗-30の二乗(2500-900)=√1600=40」で、B軍が残存兵力「0」、A軍が残存兵力「40」となる。


戦場力学

戦いは力関係の科学である。したがって戦史から導き出された原理・原則も、本来ならばエネルギーの物理学上の原理や性質、あるいはエネルギーの行使に関する理論から導き出すべきものであった。しかし物理学が体系づけられはじめたのは十九世紀に入ってからである。しかし戦いは人類や動物がこの世に出現して以来行われてきた。また人間の歴史のなかで、戦いが記録され、いまの世に残されるようになったのも数千年前からである。 したがって戦いの原理・原則なるものは、科学的な理論からではなく、戦いを体験した人たちの経験をもとに、推論を加えて記録され、次第に体系づけられてきたのが実情である。有名な中国の兵書「孫子」、これなども孫武が記述した『原始孫子』は、大橋武夫氏の研究によると、ごく簡単なものであったらしい。それが時代を経てゆくつれ誰かわからぬ人によって加筆され、現在われわれの目に見る「孫子」になったという。 兵法者の体験をもとに記述された兵書は、科学が発達しない時代背景が原因で、千古不磨の鉄則とはいいながら、力関係の優劣以上に、奇策や詐術、あるいは相手の虚に乗ずる策略が重視されてきた。しかし物質文明が進むにつれ、エネルギー・パワーのウェイトが高まり、その結果、自然界にみられる優勝劣敗、弱肉強食の原理が本然の姿をとり戻してきたのである。そうなると、奇策や詐術はある限界内でしか通用しなくなり、むしろ戦いに勝つには、力の物理的原理を知り、その正しい適用こそが要諦と考えられるように変わってきたのである。 この意味で戦いの力学を知っておくことは、戦理を理解する正道であり、かつ捷路であるのである。この点で先駆者といえるのは「ランチェスター」かもしれない。彼が空中戦から始まって地上戦にいたる多くの戦いを分析した結果発見した、①一騎討ちの法則、②集中効果の法則・・は、戦理の核心部分を述べたものといってよいからだ。

--武岡淳彦先生「兵法を制する者は経営を制す」1983年(PHP研究所)「弱者の戦略・強者の戦略」1989年(PHP研究所)より--


-- 参考文献 --

■「兵書抜粋」大橋武夫著 私家版(1976)■「兵書研究」大橋武夫著 日本工業新聞社(1978)■「統帥綱領」大橋武夫著 建帛社(1972)■「秘本兵法・三十六計」大橋武夫著 徳間書店(1981)■「鬼谷子」大橋武夫著 徳間書店(1982)■「闘戦経」大橋武夫著 私家版(1982)■「兵法経営塾」 大橋武夫著 マネジメント社(1984)■「新釈孫子」 武岡淳彦著 PHP研究所(2000)■「日本陸軍史百題」武岡淳彦著 亜紀書房(1995)■「弱者の戦略・強者の戦略」武岡淳彦著 PHP研究所(1989)■「兵法と戦略のすべて」武岡淳彦著 日本実業出版社(1987)■「兵法を制する者は経営を制す」武岡淳彦著PHP研究所(1983)■「中国古典新書六韜三略」岡田脩訳 明徳出版社(1979)■「孫子呉子全訳武経七書」守屋洋・守屋淳著 プレジデント社(1999)■「司馬法、尉繚子、李衛公問対、全訳武経七書」守屋洋・守屋淳著 プレジデント社(1999)■「六韜、三略、全訳武経七書」守屋洋・守屋淳著 プレジデント社(1999)■「中国古典名著・総解説」自由国民社(1982)■「東洋文庫 戦国策1.2.3」常石茂訳 平凡社(1966)■「五輪書」神子侃 徳間書店(1976)■「宮本武蔵」大倉隆二著 吉川弘文館(2015)■「五輪書」渡辺一郎 校注 岩波文庫(1989)■「兵法家伝書」渡辺一郎 校注 岩波文庫(1985)■「物語柳生宗矩」江崎俊平著 社会思想社(1971)


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「兵法小澤様問対」
上・中・下

「兵法小澤様問対」上
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「兵法小澤様問対」中
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「兵法小澤様問対」下
兵法小澤様問対下

「兵法 小澤様問対」上・中・下
(兵法塾外伝 平成・令和)

2009年の3月14日に初めて「小澤様」からの掲示板への書き込みがあり、その都度、拙いご返事をお返ししてきましたが、いつの間にか14年も経過して、世相も時代も大きく変化してしまいました。その時勢に応じた大橋武夫先生、武岡淳彦先生の著書やエピソード及び古典、ビジネス書をテーマにした「小澤様」との掲示板での対話が日々研鑽の証となり、個人的にも人生の貴重な足跡となりました。2013年頃より大橋先生の「お形見の書籍」を電子書籍として作成させて頂いていましたが、この度、「兵法塾・掲示板」での「小澤様」との兵法に関するやり取りを、保存と編集をかねて電子書籍として公開させていただきます。引き続き、ご指導ご鞭撻を賜れば幸甚でございます。
兵法 小澤様問対 上 【9】~【59】2009(平成21)年3月14日~2010(平成22)年6月26日
兵法 小澤様問対 中 【60】~【115】2010(平成22)年7月28日~2013(平成25)年2月17日
兵法 小澤様問対 下 【116】~【178】2013(平成25)年3月3日~2023(令和5)年1月5日

2023年12月

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(ヘイホウドットコム)編集・著者



電子書籍

「千に三つの世界」

兵法塾外伝・昭和 平成

千に三つの世界から明日の
自分を見つけよう!!

昭和から平成のコンピューター業界と情報の本質について個人的な体験を基に追求してみました。2000年から運営する「兵法塾」サイトの外伝として公開させていただきます。

2023.10.01

千に三つの世界

電子書籍「千に三つの世界」


兵書抜粋 兵書抜粋
兵書抜粋闘戦経
兵法を制する者は経営を制す 弱者の戦略・強者の戦略
兵法を制する者は経営を制す 弱者の戦略・強者の戦略

【 兵書抜粋・闘戦経 】

1987年の暮れに大橋先生の奥様より、お形見分けとして先生の蔵書を「兵法経営研究会」に分けていただくことになり、事務局の中内さんより希望の書籍を聞いて来られたので、「兵書抜粋」と「闘戦経」をお願いしたら、会長の竹林さんより丁寧な手書の宛名と包装で、それぞれ十冊ずつ実家に送って頂いた。「兵書抜粋」は1962年にベストセラーになった「兵法で経営する」を復刊されるにあたり「多忙な皆さんに、手っ取り早く兵法をわかっていただけるよう、これまでに蓄積した私の知恵のありったけを絞り出して、新たに書き下ろした。」と言われているように兵法経営の原典「兵法で経営する(復刊)」1977年の特別な付録として初めて世に出されたもので、その後1980年開講の「兵法経営塾」の基本教科書(小冊子)として活用された。 「闘戦経」は大江匡房(1041~1111)著伝で明治初期に研究者により毛利家の書庫より呉の海軍兵学校に伝わった。戦後の1962年頃、兵法経営を研究されていた大橋先生に東部軍参謀時代の参謀長高島辰彦氏より秘蔵の一本(昭和九年木版刷)が下された。開講三年目頃の「兵法経営塾」では鬼谷子や三十六計とともに日本の闘戦経も教材になり、当時は私家版として出版された「闘戦経」が「兵書抜粋」とともに重要な教科書となった。塾生たちが細やかな喜寿のお祝いをしたら先生はそのお礼に「兵法経営塾」(1984マネジメント社)を出版された。「闘戦経」は、その付録として初めて世に広く公開されたものです。「兵書抜粋」「闘戦経」は一般の書籍として刊行されたものではなかったが、先生のご遺族にご無理をお願いして2013年に電子書籍として公開させて頂きました。「兵書抜粋」には大橋先生が抜粋された、「孫子・君主論・政略論・戦争論・統帥綱領 統帥参考・作戦要務令」が収録されています。その他の兵書はWebサイト「兵法塾」https://www.heihou.com/を主宰するにあたり自らの研鑽をかねて大橋先生・武岡先生の著書とその他の古典を参考にして抜粋収録したものです。Mobile用の「兵法塾」に収録できなかったものを新たにWebサイト「兵書抜粋」として公開させて頂きました、お役にたてば光栄です。

-- 2022.12.08 サイト主宰者 --


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