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目録戦理戦いの要素統率状況判断戦略戦術大橋先生武岡先生・祈願・三陸皆様の心の復興 2011.3.11「 乃至法界平等利益自他倶安同歸寂光 」

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孫 子そんし

孫子・解説

「孫子(前480頃)」は中国の春秋時代に斉(山東省)に生まれ、揚子江下流で栄えていた呉の「闔閭(こうりょ)」に仕えた「孫武」の著作と伝わる。南方の新興国の「呉」がしだいに発展し、西方の強国「楚」を破ってその首都に進攻し、北方では「斉」や「晉」をおびやかし、南方の「越」と善戦したのは、「孫武」の働きによると伝えられている。「闔閭」に「孫武兵法十三篇」を献じて将軍に任ぜられたのが前512年頃として呉王「夫差」に疎まれ「伍子胥」が没した前484年から約十年後には「呉」も滅亡(前473年)する。「孫武」の末裔と云われる「孫臏(そんぴん)」が「斉」で名を揚げるのが前320年頃であり。後の竹簡「孫臏(そんぴん)兵法」が編まれたのも同時代と思われる。戦国七雄時代末期の法家「韓非子(?~前233年)の中に「境内みな兵を言い、孫・呉の書を蔵する者、家ごとにこれあれども兵いよいよ弱し。戦いを言う者多く、甲を被る者少ければなり」の言が見える頃は既に孫子・呉子その他の兵書も世間に広く在ってまだ庶民の頃の「韓信(?~前196年)」も「孫子」を諳んじるぐらい兵書孫子を学ぶことが出来たと思われる。「秦」が戦国七雄を下し天下を平定するのは前221年である。法家の思想を入れて「挾書律(焚書坑儒)」が発せられて当時の「呉孫子八十二編」も尽く焼き尽くされ、あるいは隠匿されたと思われる。やがて「秦」が滅び「漢」の二代「恵帝」によって「挾書律(焚書坑儒)」が解かれるまでわずか20数年であるが、孫武、孫臏の兵書もその間に多少の錯乱、欠損等の被害を受けて再び世に出たと思われる。その後、約130年後に「司馬遷(前145~前86説)」の「史記(~前90年完成)」で語られる「孫子・呉起列伝」が最も古く唯一の孫武とその兵書の伝記ということになる。1972年山東省銀雀山の貴族の漢墓から出土する「孫子」「孫臏」の竹簡はこの頃(前134~前118)のものと云われる。同じく漢の貴族(劉邦の一族)出身の「劉向(前77~前6)」により宮中の蔵書の校定が行われた。「戦国策」と同様に「孫武の兵書」も一旦は貴重な宮中の蔵書として整えられたと思われる。その後、漢末期の動乱の中で頭角を現わした魏の武帝「曹操(155~220年)」によって注釈された唯一の十三篇が「孫武の兵書」(孫子の兵法)の「原本」として後世に残った。その曹操の「魏武註孫子」が今日世界中に翻訳され広く知れ渡った孫子の兵法「Art of War」の「原作」となっている。1972年に銀雀山の貴族の漢墓から出土した竹簡によりそれまで明確でなかった「孫武」と「孫臏」の関係とその二つの兵書「孫武の兵書」「孫臏の兵書」の存在が明らかになった。さらに曹操の「魏武註孫子」より約330年も古い資料の孫武の兵書(竹簡)が出現したことにより、「孫武」存命の頃より今日まで約2500年の時代から約330年だけ遡った頃の孫武の兵書を人類は手に入れたということになる。しかし孫武の春秋時代から約2500年後の21世紀2022年今日になっても人間が人間を殺してまで何を得ようというのか。やがてその舟も沈もうとしているのに・・・。ただ哺乳類が哺乳類を殺して糧にするような摂理から孫武は何を見出していたのだろうか。

戦 理

  1. 善く戦う者は、人を致して人に致されず。
  2. 兵は利にあらざれば動かさず、得るにあらざれば用いず、危きにあらざれば戦わず。
  3. 百戦百勝は善の善なるものにあらず、戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。
  4. 上兵は謀を伐ち、その次は交を伐つ、その次は兵を伐つ、その下は城を攻む。
  5. 兵は拙速を聞くも、巧久を見ず、兵久しくして国に利ある者、未だ之あらざるなり。
  6. 水は高きを避けて低きに赴き、兵は実を避けて虚を伐つ、水は地によりて流れを制し、兵は敵によりて勝を制す、故に、兵に常勢なく、水に常形なし。
  7. 兵は詭道なり、能にして不能を示し、用にして不用を示し、備えなきを攻め、その不意に出ず。
  8. 善く戦う者は、勝ち易きに勝つ、善く戦う者の勝つや、智名もなく勇功もなし。
  9. 戦いは、正を以って合い、奇を以って勝つ、善く奇を出すもの、窮りなきこと天地の如く、竭きざること江河の如し。奇の変、あげて窮む可からず、たれか能く之を窮めん。
  10. 兵は詐を以って立ち、利を以って動き、分合を以って変となす。故にその疾きこと風の如く、徐なること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し、知り難きこと陰の如く、動くこと雷震の如く。
  11. 激水の疾き、石を漂わすに至るは勢いなり。鷲鳥の疾き、毀折に至るは節なり。
  12. 人を形して、我無形なれば、我専らにして一となり、敵分かれて十となる。これ十を以って一を攻むるなり。
  13. 善く戦う者は、先ず勝つべからざるをなして、敵の勝つべきを待つ。
  14. 守るは足らざればなり、攻むるは余りあればなり。
  15. 師を囲めば必ず欠き、窮敵には迫るなかれ。
  16. 初め処女の如く、後は脱兎の如し。
  17. 死地にはすなわち戦え。
  18. 戦い勝ち、攻めとりて、その功を修めざるものは凶なり。

統 率

  1. 将軍の事は静にして幽なり。
  2. 衆を治むること寡を治むる如きは分数これなり。衆を戦わしむること寡を戦わしむる如きは形名これなり。
  3. 善く兵を用うる者は、率然の如し、率然とは常山の蛇なり。その頭をうてば尾いたり、その尾うてば頭いたり、その中をうてば首尾ともにいたる。
  4. 卒未だ親付せざるにこれを罰すれば服せず。服せざれば用い難きなり。卒すでに親付して罰行なわれざれば用いるべからず。
  5. 令するに文を以ってし、斉うるに武を以ってす。教うるに事を以ってし、言を以ってするなかれ。告ぐるに利を以ってし、害を以ってするなかれ。
  6. 無法の賞を施し、無政の令を掲ぐ。三軍の衆を用うること一人を使うが如し。
  7. 厚うして能く使わず、愛して能く令せざれば、乱るれども治むるあたわず。たとえば驕子の如し用うべからず。
  8. 呉人と越人は相憎めども、舟を同じくして渡り風にあえば、その相救うや、左右の手の如し。
  9. 兵は、これを行く所なきに投ずれば、死すとも逃げず。死せばいずくんぞ得ざらん。
  10. 諄諄翕翕として徐ろに人に言る者は、衆を失えるなり。数数、賞する者は窘しむなり。数数、罰する者は困るるなり。
  11. 先に暴にして後にその衆を畏るる者は、不精の至りなり。

状 況 判 断

  1. 兵は国の大事、死生の地、存亡の道なり、察せざる可からず。
  2. 主は怒りをもって師を起こす可からず、将は憤りをもって戦いを致す可からず。憤怒は喜悦に変わる可きも、死者は以って復た生く可からず、亡国は以って復た存す可からず。
  3. 勝兵は、先ず勝て後、戦いを求め。敗兵は戦いて後、勝を求む。算多きは勝ち、算少なきは敗る。
  4. 智者の慮は必ず利害を雑う。
  5. 戦う可きと戦う可からざるとを知る者は勝つ。衆寡の用を知る者は勝つ。上下欲を同じくする者は勝つ。虞を以って不虞を待つ者は勝つ。将能ありて君の御せざる者は勝つ。
  6. 道に由らざる所あり、軍に撃たざる所あり、城に攻めざる所あり、地に争わざる所あり、君命に受けざる所あり。
  7. 師を起こすこと十万、日に千金を費して勝を争う。爵禄百金を惜みて、敵の情を知らざるものは不仁(愚)の至りなり。
  8. 彼を知り己を知れば、百戦して危うからず。天を知り地を知れば、勝すなわち全かるべし。
  9. 戦いの地を知り、戦いの日を知らば、千里にして、会戦すべし。
  10. 先ずその守将、左右、謁者、門者、舎人の姓名を知るに、我が間をして必ずこれを求め知らしむ。
  11. 将に五危あり、必死は殺す可く、必生は虜とす可く、憤速は侮る可く、廉潔は辱しむ可く、愛民は煩わす可し。
  12. 汲みて先ず飲むは渇けるなり、利を見て進まざるは労せるなり、鳥起つは伏なり。
  13. 諄諄翕翕として徐ろに人に言る者は、衆を失えるなり。数数、賞する者は窘しむなり。数数、罰する者は困るるなり。
  14. 戦いの道、必ず勝たば、主、戦うなかれというも必ず戦い。勝たずんば、主、必ず戦えというも戦わず。
  15. 間に五あり、因間は郷人に因り、内間は官人に因り、反間は敵間に因り、死間は偽りを外になし、我が間に知らしめて傳え、生間は帰りて報ずる。
  16. 五間のこと、主必ずこれを知る、これを知るは必ず反間にあり、故に反間は厚くせざる可からざるなり。
  17. 明君、賢将のみ能く上智を以って間となし、必ず大功を成す。

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「兵法 小澤様問対」上・中・下(兵法塾外伝 平成・令和)

2009年の3月14日に初めて「小澤様」からの掲示板への書き込みがあり、その都度、拙いご返事をお返ししてきましたが、いつの間にか14年も経過して、世相も時代も大きく変化してしまいました。その時勢に応じた大橋武夫先生、武岡淳彦先生の著書やエピソード及び古典、ビジネス書をテーマにした「小澤様」との掲示板での対話が日々研鑽の証となり、個人的にも人生の貴重な足跡となりました。2013年頃より大橋先生の「お形見の書籍」を電子書籍として作成させて頂いていましたが、この度、「兵法塾・掲示板」での「小澤様」との兵法に関するやり取りを、保存と編集をかねて電子書籍として公開させていただきます。引き続き、ご指導ご鞭撻を賜れば幸甚でございます。
兵法 小澤様問対 上 【9】~【59】2009(平成21)年3月14日~2010(平成22)年6月26日
兵法 小澤様問対 中 【60】~【115】2010(平成22)年7月28日~2013(平成25)年2月17日
兵法 小澤様問対 下 【116】~【178】2013(平成25)年3月3日~2023(令和5)年1月5日

2023年12月
heihou.com (ヘイホウドットコム)編集・著者



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