Military Art from T.Ohashi T.Takeoka
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「状況判断」には政略・外交・謀略・戦略など、それぞれ長期を見通すものと、戦術的に短期の行動を決める場合のものがあるが下記は略式の戦術的状況判断の例である。戦場では兵卒から将帥までそれぞれの立場で状況を判断しているが、それぞれの情報と権限が異なる。将帥の判断と決断は「命令」という形でその集団の行動を規制する。帷幄の中(作戦会議)では一定の権限を持つ、宿老や幕僚もそれぞれの情報を持ち、状況判断を行うが最終方針は将帥(トップ)の「決断」(決断には権限と責任が伴う)による。「状況判断」と「決断」(決心)と「命令」は別の機能であり、決断の伴わない状況判断もあり、状況判断の伴わない命令もありうる。
武田勝頼は、父信玄の死後家督を相続し、さかんに兵を隣国へ進め織田・徳川の出城を侵し、美濃の明智、足助の城を奪い、遠江の高天神城を奪った。勢いに乗った勝頼は、天正三年春、東三河に侵入して長篠城を包囲した。ところが城を落とせないうちに、織田・徳川の連合軍 18000が到着し、勝頼は新しい情勢への対応を迫られた。 |
目的 | 武田方の目的は、近畿方面の反織田勢力と呼応して、天下に号令することにあった。 |
目標 | このため、まず徳川勢を撃破し、遠江・三河に地歩を進め、その後織田勢と決戦しようと考えていた。 |
地域見積 | 地域見積として、予想戦場(土俵)の気候、地形、などが敵と我の行動に及ぼす影響の分析。 |
情報見積 | 情報見積としてその予想戦場(土俵)で敵はどのような行動が可能か列挙して分析する。 |
敵の可能行動 E-1~E-3 の採用公算の順位をその「兆候」、戦術的「意義」、我に及ぼす「影響」、によって考察する。 |
敵の可能行動 | |
E-1 | 長篠付近に向かって攻撃してくる。 |
E-2 | 現位置、設楽原で防御し一部で包囲中の我を攻撃する。 |
E-3 | 現在地、設楽原で防御する。 |
我の行動方針 | |
O-1 | 織田・武田の連合軍を攻撃する。 |
O-2 | 長篠城を囲んだまま、その付近(隘路口)で防御する。 |
O-3 | 長篠城の囲みを解いて、その北側に退き狭隘な山地からの出口で防御する。 |
O-4 | 甲州に退却し、時機を見て出直す。 |
結 論 | |
◯ | 敵の可能行動の採用公算の順位。 |
◯ | 我の目的・目標達成に影響を及ぼす敵の可能行動。 |
◯ | 我の乗じうる敵の弱点。 |
状況判断 | : 敵の可能行動と我が行動方針(可能行動)の列挙比較、分析。 |
結 論 | : 最良の行動方針を見出す。 |
「米軍式 状況判断(正式)」の4.各行動方針の比較を独立させたものが「略式状況判断表」である。 状況判断は、その時の状況に応じて、「打つ手」を探るものであり、「略式状況判断表」はそのとき考え出した各種の方策・方針(打つ手)だけを図上(表)に展開して要因に照らし比較した後、最良の行動方針・方策を見出そうとするものである。方針・方策の比較にあたって思考の混乱や抜け落ちを防ぐために簡単な様式(フォーム)を作って利・不利(利害)をチェックする手軽な方法である。 比較要因に何をとりあげるか、及びその比較要因の比重の差がある。重視すべき要因の重要度が異なれば、+(プラス)・-(マイナス)の付け方が難しく迷いが生じる。目先の利、不利だけにとらわれて、大局的判断を誤る恐れがある等の欠点を承知で活用すれば状況判断の方法として十分な効果がある。
略式 状況判断表 |
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比較要因 敵の可能行動 との関係 | |||||
我が行動の方針 |
目的に対する効果・忠実度 | E-1 攻撃 | E-2 連携 | E-3 防御 | 採点 |
① O-1 攻撃 | + + | + - | - | - - | △ -1 |
② O-2 防御 | + | + | + - | + | ◯ +3 |
③ O-3 防御 | + - | + + | + | + | ◎ +4 |
④ O-4 退却 | - | + - | + - | + - | △ -1 |
-- 以上が略式の戦術状況判断の結果である。実際の作戦・戦闘結果は歴史(戦史)の示す通りである。 --
この表の結果に、無条件にしたがうわけにはいかないが、表が正直であることを無視してはならない。当時、勝頼がこの表で、自分の案①にマイナス(-)が三つもあることを見せつけられたならば、冷静になって反省したかもしれない。採点の結果は、目前のことにとらわれて、大局を誤る恐れがある。たとえば④案、退却は、敵のどの案にも消極的であるため不利で△-1の評定であるが、数ヵ月後に改めて出直すことにまで考えを及ぼせば、最良の案であり、父の信玄であれば必ずこの案に出たであろう。
---武岡淳彦先生「 必勝・状況判断法 」(マネジメント社1984年(S59)3月)より---
兵書の普遍と真理
兵書には兵法すなわち兵学と兵術が書かれてある。兵学とは戦いの理論と哲学で、兵術とは兵学を実行する術策であり、文字に表現しつくせないものが多分にある。兵法の要は、集団を率いて戦勝を獲得することにあり、「戦わずして勝つ」ことをもって最上とする。戦って勝つための鍵は、我が優勢をもって敵の劣勢を討つにあるが、この優勢はたんに有形の要素だけでなく、無形の要素によってきまることが多い。たとえば不意を突かれた軍はつねに劣勢である。無形の要素は、生命の危険を前提とする戦いの場面において、想像を絶する大威力を発揮するもので、有形の要素の格段の差が有無を言わせぬ猛威をふるうのも、それが人間に絶望感を与えるためでもある。兵法は、本来、性悪説によっている。性善説で粉飾しているものもあるが、これは無理である。とくに統率のためには、将兵の忠誠心や勇敢さが貴重であり、それを養うことに努力しなければならないが、極限状態に陥った人間は、その良識が管制力を失って本能をむき出しにすることを認識し、手抜かりのないように考えておく必要があり、現に信賞必罰を説かない兵書はないのである。性善説を表看板とする日本軍の統帥綱領や作戦要務令も、武士道や軍人精神の修養練磨という事前の準備を強く要請するとともに、厳正なる軍紀(積極的責務遂行心)の必要を高唱し、峻烈なる軍律によって裏づけしている。兵法は時代とともに進化していくものであるが、そのなかに不動の部分がある。それは真理と人間の本質に根を下ろしたもので、百年千年の風雪に堪えて来ており、今後もますます輝き続けていくであろう。本書に抜粋集録したものはこれである。なお、兵書は、時世に恵まれた一人の天才が、多くの人の経験を集めて単純化し、ある主張のもとに編集したもので、たとえば孫子の兵法も、そのすべてを孫武が開発したものではなく、いわば彼は編者である。したがって協力者の参画があったろうし、テクニックに属するものには、伝承者の手による後世の修正加除もありうるわけである。兵法は、たんに戦いの場だけでなく、政治の運営、企業の経営はもちろん、我々が人生を生きがいのあるものにするためにも、そのまま役に立つ。政治も企業も戦いも、要は組織の効果的な運用であり、また、人生は苦難の連続で、我々はこれに打ち勝たねば生きていけないし、打ち勝つことによって、初めて真の喜びを感ずるものだからである。-- 大橋先生著「兵書抜粋」まえがきより --
「闘戦経」を世に出すようになった経緯
「闘戦経」は幸いにして先覚の士により、明治にいたってその存在が確められ、海軍兵学校の手に移るにおよんで、昭和九年に木版刷にされたものが若干篤学の士に渡り、さらにその活字化されたものの一本が偶然私(大橋)の所へ来たのである。それは私が東部軍参謀時代の参謀長高島辰彦氏の好意で、戦後「兵法的思考による経営」を研究している私のことを聞かれ、昭和三十七年十月二日に氏秘蔵の一本を下さったのである。氏を中心とするグループはかねてからこの本を研究しておられたようで、篤学の士の訳までついていた。それから十八年後の昭和五十五年十月から、はからずも私はブレーン・ダイナミックス社の前田滋社長の後援により、帝国ホテルと丸の内ホテルで兵法経営塾を開講しているが、熱心な方々が全国から集まられ、ついに昭和五十七年には三年研修生が出ることになった。その結果、今までより高度の兵法研究を行なうことになり、その対象として、中国の「鬼谷子」と日本の「闘戦経」が浮かびあがってきた。いずれも古代の幻の兵書であり、難解である。しかし私は数年前からこの両書を研究していたので、この際これをまとめて本にして教材に使いたいと思い、「鬼谷子」は徳間書店の厚意にあまえて刊行することにし、「闘戦経」は、紙数が少なくて刊行対象にならないため、自費出版をすることに踏み切った次第である。なお大江匡房の文章は現代人にわかりやすいように書き直し、さらに解説と私の考えを付記しておいた。古人の序文に「将来、天機秀発して、後世、しかるべき人に知られるのを待つのみ」とあるが、この八百余年も前の人の悲願が今達成の機を得ることになるかと思えばまことに感慨無量であり、また筆をとる者としてまことに冥利につきる思いがする。なお、私は暗号解読も同様の苦心をして勉強したが、まだまだ不十分なところが多く、結局、私の仕事は「こんな本がある」ということを世の中に紹介するにとどまったようである。私もまた先人の例にならい、将来いつか達識の士が現れて、この本の主張するところをさらに効果的に活用する途を聞かれんことを期待する。なお、あとがきにある大江元綱の言のように、この本は「熟読永久にして、自然に関を脱するを得べし」であり、わからないところはじーっと睨み、繰り返し読みつづけていれば、日本人であるかぎり、いつとはなしにその意味が脳裡に浮かんでくるものであり、読者の不屈の挑戦を念願する次第である。-- 大橋先生著「闘戦経」を考えるより --
電子書籍
電子書籍 2024.01.16
「兵法 小澤様問対」 | ||||||
「兵法小澤様問対」上 | 「兵法小澤様問対」中 | 「兵法小澤様問対」下 | ||||
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「兵法 小澤様問対」上・中・下
(兵法塾外伝 平成・令和)
2009年の3月14日に初めて「小澤様」からの掲示板への書き込みがあり、その都度、拙いご返事をお返ししてきましたが、いつの間にか14年も経過して、世相も時代も大きく変化してしまいました。その時勢に応じた大橋武夫先生、武岡淳彦先生の著書やエピソード及び古典、ビジネス書をテーマにした「小澤様」との掲示板での対話が日々研鑽の証となり、個人的にも人生の貴重な足跡となりました。2013年頃より大橋先生の「お形見の書籍」を電子書籍として作成させて頂いていましたが、この度、「兵法塾・掲示板」での「小澤様」との兵法に関するやり取りを、保存と編集をかねて電子書籍として公開させていただきます。引き続き、ご指導ご鞭撻を賜れば幸甚でございます。
■ 兵法 小澤様問対 上
【9】~【59】2009(平成21)年3月14日~2010(平成22)年6月26日
■ 兵法 小澤様問対 中
【60】~【115】2010(平成22)年7月28日~2013(平成25)年2月17日
■ 兵法 小澤様問対 下
【116】~【178】2013(平成25)年3月3日~2023(令和5)年1月5日
2023年12月
heihou.com
(ヘイホウドットコム)編集・著者
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