Military Art from T.Ohashi T.Takeoka
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私はかつて中隊長のとき、この適用方法がわからず悩んだことがあった。そのためマニュアル(歩兵操典・作戦要務令)の理解が足りないかもしれないと思って、改めて熟読玩味してみた。しかしそのときは一応わかったような感じはするが、さてそれではこの状況ではどうするかという、状況下の実行要領になると自信のある策案が浮かばない。いろいろ考えた末「実戦を研究してみたら」という、今にして思えばきわめて常識的な、しかも本質的な方法を思いついた。私の手元にたまたま格好の戦例集があったことがこの方法をとらせたのである。私は四冊ある本の中から、歩兵中隊の成功した戦例および失敗した戦例を抽出して研究することとし、毎日夕食後自室の淡いランプ(野戦では電燈がなかった)の下で作業した。方法は、戦例を攻撃篇と防御篇とに分け、ひとつひとつについて、一般状況、戦闘経過、教訓、要図を丹念に写した。それがすむと、ひとつひとつの戦例について、なぜこの場合は成功し、この場合は失敗したかを分析した。そのあと、攻撃で成功するための公約数(二つ以上の数に共通な約数)的な原則はなにか、防御はどうかというように各戦闘行動ごとに、コツともいうべき共通原則を探求した。このように分析を積み重ねた結果、わかってきた原則はなんと、これまで十分理解していると思っていた『作戦要務令』および『歩兵操典』に書かれている原則と、まったく同じものであったのである。このときの私の感激は、四十年経った今でも忘れられない。私はこの理解を胸に秘め次の作戦で活用したが、どんな状況に遭っても、まず迷うようなことはなく、自分でも驚くほどの戦果をあげることができた。※(湘桂作戦において戦功抜群として大本営より「個人感状」、軍司令官より「中隊感状」を拝受された。) 「戦理」の理解はそれを適用できる状態までもっていかなければ、本当に理解したとはいえないのである。-- 武岡先生著「兵法を制する者は経営を制す」(1983年 PHP研究所) 「湘桂作戦体験記」(1979年 湘桂作戦戦記出版会)より --
戦いは力関係の科学である。したがって戦史から導き出された原理・原則も、本来ならばエネルギーの物理学上の原理や性質、あるいはエネルギーの行使に関する理論から導き出すべきものであった。しかし物理学が体系づけられはじめたのは十九世紀に入ってからである。しかし戦いは人類や動物がこの世に出現して以来行われてきた。また人間の歴史のなかで、戦いが記録され、いまの世に残されるようになったのも数千年前からである。
したがって戦いの原理・原則なるものは、科学的な理論からではなく、戦いを体験した人たちの経験をもとに、推論を加えて記録され、次第に体系づけられてきたのが実情である。有名な中国の兵書「孫子」、これなども孫武が記述した『原始孫子』は、大橋武夫氏の研究によると、ごく簡単なものであったらしい。それが時代を経てゆくつれ誰かわからぬ人によって加筆され、現在われわれの目に見る「孫子」になったという。
兵法者の体験をもとに記述された兵書は、科学が発達しない時代背景が原因で、千古不磨の鉄則とはいいながら、力関係の優劣以上に、奇策や詐術、あるいは相手の虚に乗ずる策略が重視されてきた。しかし物質文明が進むにつれ、エネルギー・パワーのウェイトが高まり、その結果、自然界にみられる優勝劣敗、弱肉強食の原理が本然の姿をとり戻してきたのである。そうなると、奇策や詐術はある限界内でしか通用しなくなり、むしろ戦いに勝つには、力の物理的原理を知り、その正しい適用こそが要諦と考えられるように変わってきたのである。
この意味で戦いの力学を知っておくことは、戦理を理解する正道であり、かつ捷路であるのである。この点で先駆者といえるのは「ランチェスター」かもしれない。彼が空中戦から始まって地上戦にいたる多くの戦いを分析した結果発見した、①一騎討ちの法則、②集中効果の法則・・は、戦理の核心部分を述べたものといってよいからだ。
武岡先生-「兵法を制する者は経営を制す(勝利に導く戦理学入門)」-1983年(PHP研究所)「弱者の戦略・強者の戦略」-1989年(PHP研究所)より
兵法は自然や戦史から帰納的に導き出された普遍的なものである。しかしそれらの兵書(文字)だけを繰り返し読んでもそこに書いてある原理・原則の言葉から想像される「戦いの状況」は、それを読む人の経験や知識の内に止まってしまいやすい。まったく軍事の経験も知識もない者が軍事的教訓(兵書)だけをもとに「経済活動」や「社会生活」に何らかの効果を期待しようとしても自ずと限界がある。独りよがりの解釈だけでは「原理・原則(戦理)」の適用を誤りやすい。故に、それらの「原理・原則(戦理)」を「戦史」という実例を使って演繹的に検証して、まずその「適用方法」を学ぶ必要がある。後に防衛庁きっての戦略家として「幹部学校」や「幹部候補生学校」の校長を務められることになる陸将の武岡先生でも二十歳足らずで実弾の中をくぐり、貫通銃創を三度も受けられるほどの試練の中で、この原理・原則の適用に悩まれた。「背水の陣」「股くぐり」の故事で有名な国士無双・淮陰侯「韓信」が背水の陣を用いた「井陘の戦い」の敵将(趙王成安君)も韓信を迎え撃つにあたり孫子・謀攻篇の「十なれば則ち之を囲み、五なれば則ち之を攻め、倍なれば則ち之を分ち・・」の言葉を用いて状況判断を行っている。戦いが終った後、韓信の配下の諸将も孫子・行軍篇の「高きを右背に、死を前に生を後に(史記・山陵を右背に水沢を前、左にす)・・・」の言葉を用いて背水の陣の勝因を韓信に問うている。その問いに答えた言葉が「此れ兵法に在り、ただ諸君察せざるのみ・・・(孫子・九地篇)」である。「兵法」は知識と適用(運用)との「差」が勝敗、生死そのものである。(-- サイト主宰者 --)
兵書の普遍と真理
兵書には兵法すなわち兵学と兵術が書かれてある。兵学とは戦いの理論と哲学で、兵術とは兵学を実行する術策であり、文字に表現しつくせないものが多分にある。兵法の要は、集団を率いて戦勝を獲得することにあり、「戦わずして勝つ」ことをもって最上とする。戦って勝つための鍵は、我が優勢をもって敵の劣勢を討つにあるが、この優勢はたんに有形の要素だけでなく、無形の要素によってきまることが多い。たとえば不意を突かれた軍はつねに劣勢である。無形の要素は、生命の危険を前提とする戦いの場面において、想像を絶する大威力を発揮するもので、有形の要素の格段の差が有無を言わせぬ猛威をふるうのも、それが人間に絶望感を与えるためでもある。兵法は、本来、性悪説によっている。性善説で粉飾しているものもあるが、これは無理である。とくに統率のためには、将兵の忠誠心や勇敢さが貴重であり、それを養うことに努力しなければならないが、極限状態に陥った人間は、その良識が管制力を失って本能をむき出しにすることを認識し、手抜かりのないように考えておく必要があり、現に信賞必罰を説かない兵書はないのである。性善説を表看板とする日本軍の統帥綱領や作戦要務令も、武士道や軍人精神の修養練磨という事前の準備を強く要請するとともに、厳正なる軍紀(積極的責務遂行心)の必要を高唱し、峻烈なる軍律によって裏づけしている。兵法は時代とともに進化していくものであるが、そのなかに不動の部分がある。それは真理と人間の本質に根を下ろしたもので、百年千年の風雪に堪えて来ており、今後もますます輝き続けていくであろう。本書に抜粋集録したものはこれである。なお、兵書は、時世に恵まれた一人の天才が、多くの人の経験を集めて単純化し、ある主張のもとに編集したもので、たとえば孫子の兵法も、そのすべてを孫武が開発したものではなく、いわば彼は編者である。したがって協力者の参画があったろうし、テクニックに属するものには、伝承者の手による後世の修正加除もありうるわけである。兵法は、たんに戦いの場だけでなく、政治の運営、企業の経営はもちろん、我々が人生を生きがいのあるものにするためにも、そのまま役に立つ。政治も企業も戦いも、要は組織の効果的な運用であり、また、人生は苦難の連続で、我々はこれに打ち勝たねば生きていけないし、打ち勝つことによって、初めて真の喜びを感ずるものだからである。-- 大橋先生著「兵書抜粋」まえがきより --
「闘戦経」を世に出すようになった経緯
「闘戦経」は幸いにして先覚の士により、明治にいたってその存在が確められ、海軍兵学校の手に移るにおよんで、昭和九年に木版刷にされたものが若干篤学の士に渡り、さらにその活字化されたものの一本が偶然私(大橋)の所へ来たのである。それは私が東部軍参謀時代の参謀長高島辰彦氏の好意で、戦後「兵法的思考による経営」を研究している私のことを聞かれ、昭和三十七年十月二日に氏秘蔵の一本を下さったのである。氏を中心とするグループはかねてからこの本を研究しておられたようで、篤学の士の訳までついていた。それから十八年後の昭和五十五年十月から、はからずも私はブレーン・ダイナミックス社の前田滋社長の後援により、帝国ホテルと丸の内ホテルで兵法経営塾を開講しているが、熱心な方々が全国から集まられ、ついに昭和五十七年には三年研修生が出ることになった。その結果、今までより高度の兵法研究を行なうことになり、その対象として、中国の「鬼谷子」と日本の「闘戦経」が浮かびあがってきた。いずれも古代の幻の兵書であり、難解である。しかし私は数年前からこの両書を研究していたので、この際これをまとめて本にして教材に使いたいと思い、「鬼谷子」は徳間書店の厚意にあまえて刊行することにし、「闘戦経」は、紙数が少なくて刊行対象にならないため、自費出版をすることに踏み切った次第である。なお大江匡房の文章は現代人にわかりやすいように書き直し、さらに解説と私の考えを付記しておいた。古人の序文に「将来、天機秀発して、後世、しかるべき人に知られるのを待つのみ」とあるが、この八百余年も前の人の悲願が今達成の機を得ることになるかと思えばまことに感慨無量であり、また筆をとる者としてまことに冥利につきる思いがする。なお、私は暗号解読も同様の苦心をして勉強したが、まだまだ不十分なところが多く、結局、私の仕事は「こんな本がある」ということを世の中に紹介するにとどまったようである。私もまた先人の例にならい、将来いつか達識の士が現れて、この本の主張するところをさらに効果的に活用する途を聞かれんことを期待する。なお、あとがきにある大江元綱の言のように、この本は「熟読永久にして、自然に関を脱するを得べし」であり、わからないところはじーっと睨み、繰り返し読みつづけていれば、日本人であるかぎり、いつとはなしにその意味が脳裡に浮かんでくるものであり、読者の不屈の挑戦を念願する次第である。-- 大橋先生著「闘戦経」を考えるより --
電子書籍
電子書籍 2024.01.16
「兵法 小澤様問対」 | ||||||
「兵法小澤様問対」上 | 「兵法小澤様問対」中 | 「兵法小澤様問対」下 | ||||
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「兵法 小澤様問対」上・中・下
(兵法塾外伝 平成・令和)
2009年の3月14日に初めて「小澤様」からの掲示板への書き込みがあり、その都度、拙いご返事をお返ししてきましたが、いつの間にか14年も経過して、世相も時代も大きく変化してしまいました。その時勢に応じた大橋武夫先生、武岡淳彦先生の著書やエピソード及び古典、ビジネス書をテーマにした「小澤様」との掲示板での対話が日々研鑽の証となり、個人的にも人生の貴重な足跡となりました。2013年頃より大橋先生の「お形見の書籍」を電子書籍として作成させて頂いていましたが、この度、「兵法塾・掲示板」での「小澤様」との兵法に関するやり取りを、保存と編集をかねて電子書籍として公開させていただきます。引き続き、ご指導ご鞭撻を賜れば幸甚でございます。
■ 兵法 小澤様問対 上
【9】~【59】2009(平成21)年3月14日~2010(平成22)年6月26日
■ 兵法 小澤様問対 中
【60】~【115】2010(平成22)年7月28日~2013(平成25)年2月17日
■ 兵法 小澤様問対 下
【116】~【178】2013(平成25)年3月3日~2023(令和5)年1月5日
2023年12月
heihou.com
(ヘイホウドットコム)編集・著者
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リーダーとスタッフ | 孫子の経営学 |
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