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統 率 |
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将軍の事は静にして幽なり。
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衆を治むること寡を治むる如きは分数これなり。衆を戦わしむること寡を戦わしむる如きは形名これなり。
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善く兵を用うる者は、率然の如し、率然とは常山の蛇なり。その頭をうてば尾いたり、その尾うてば頭いたり、その中をうてば首尾ともにいたる。
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卒未だ親付せざるにこれを罰すれば服せず。服せざれば用い難きなり。卒すでに親付して罰行なわれざれば用いるべからず。
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令するに文を以ってし、斉うるに武を以ってす。教うるに事を以ってし、言を以ってするなかれ。告ぐるに利を以ってし、害を以ってするなかれ。
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無法の賞を施し、無政の令を掲ぐ。三軍の衆を用うること一人を使うが如し。
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厚うして能く使わず、愛して能く令せざれば、乱るれども治むるあたわず。たとえば驕子の如し用うべからず。
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呉人と越人は相憎めども、舟を同じくして渡り風にあえば、その相救うや、左右の手の如し。
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兵は、これを行く所なきに投ずれば、死すとも逃げず。死せばいずくんぞ得ざらん。
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諄諄翕翕として徐ろに人に言る者は、衆を失えるなり。数数、賞する者は窘しむなり。数数、罰する者は困るるなり。
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先に暴にして後にその衆を畏るる者は、不精の至りなり。
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