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目録戦理戦いの要素統率状況判断戦略戦術大橋先生武岡先生・祈願・三陸皆様の心の復興 2011.3.11「 乃至法界平等利益自他倶安同歸寂光 」

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兵書抜粋

統 帥 綱 領とうすいこうりょう

「統帥綱領」・「統帥参考」 解説

統帥綱領(1928年)・統帥参考(1932年) わが国の兵学は初めに孫子の影響を受け、明治時代に至ってクラウゼウィッツの戦争論により体系づけられ、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦の教訓によって肉づけされたもので、昭和初期に至って、多くの軍事書に結晶した。 統帥綱領と作戦要務令はそのうちの傑作で、神武以来の伝統が数多の栄養を吸収し、参謀本部や陸軍大学校の英才たちの手によって、長年の苦心の結果、世界的に優良な兵書として見事に開花したものである。 統帥綱領は日本陸軍の将官および参謀のために国軍統帥の大綱を説いたもので、わが作戦実行のための指導書である。したがってこれを読めば、日本軍の作戦計画や戦法が察知されるので、軍事機密として、特定の将校にだけ、厳重な規制のもとで、臨機閲覧を許された、文字どおり門外不出の書であった。 このため陸軍大学校では、統帥綱領の講義のため、機密度の低い兵学の書である統帥参考(1932年刊)を使っていた。

統帥綱領

  1. 統帥の中心たり、原動力たるものは、実に将帥にして、古来、軍の勝敗はその軍隊よりも、むしろ将帥に負う所大なり。戦勝は、将帥が勝利を信ずるに始まり、敗戦は将帥が戦敗を自認するによりて生ず。故に戦いに最後の判決を与うるものは実に将帥に在り。
  2. 将帥の責任はあらゆる状況を制して、戦勝を獲得するに在り。故に将帥に欠くべからざるものは、将帥たる責任感と戦勝に対する信念なり。
  3. 将帥の価値は、その責任感と信念との失われたる瞬間において消滅す。
  4. 如何に優秀なる将帥も、敵に勝つことのできない者は、将帥としての価値なし。
  5. 戦争における勝利は、計画の巧なるより、実施において意志強固なるものに帰す。
  6. 戦争においては、百を知るよりも一を信ずるに如かず。百の知識は一つの信念によりて撃倒せられる。
  7. 死生の巷において、一事を遂行する力を有するものは、知識にあらずして信念なり。
  8. 将帥は事務の圏外に立ち、超然として常に大勢の推移を達観し、心を策案ならびに大局の指導に専らにして、適時適切なる決心をなさざるべからず。これがため将帥には、責任を恐れざる勇気と、幕僚を信任する度胸とを必要とす。幕僚とくに参謀長を信頼せず、しかもこれを更迭する英断なき将帥は失敗す。
  9. 将帥は部下の努力を有意義に運用し、徒労に帰せしめざる責任を有す。部隊がそこに位置するだけで、何もしなくても全体に貢献していることがある。部隊を右往左往させることは、必ずしも指揮官の迷いによるものではない。これらによる部下の不信不満を起こさせないためには、全般の状況と指揮官の意図を明示することが大切である。
  10. 危急存亡の秋(とき)に際会するや、部下は仰いで、その将帥に注目す。
  11. 幕僚は要所の資料を整備して、将帥の策按決定を準備し、これを実行に移す事務を処理し、かつ軍隊の実行を注視す。軍隊に命令を下し、これを指揮するは、指揮官のみこれを行うを得べく、幕僚は指揮官の委任なければ、軍隊を部署する権能なきことを銘心するを要す。幕僚は決して指揮官に非図ず。これを混同するに至らば、軍は最早や無政府状態に陥るべし。(デブネー)
  12. 人は意思の自由を有して、自己の存在を意識し、その存在をなるべく永く保持せんとする本能を有す。
  13. 統帥は部下および敵の意思の自由を奪いて、これを自己の意思に従わしむるものにして、統帥に関する学理は、意思の自由に関する学理なり。
  14. 統帥は戦略戦術と密接なる関係を有す。しかれども、戦略戦術と統帥とは同一のものにあらず。統帥の本義は、戦略戦術を、意思の自由の本能を有する人間に適用することにある。「経営学」と「経営」とは違う。
  15. 統帥者の意思は完全に自由を発揮せざるべからず。
  16. 攻勢は衆人の意思の自由を調和し、これを併せて一定の方向に対し、求心的に活動せしめ、守勢は衆多の人間の意思をして離心的に作用せしむる特性を有す。
  17. 統帥者が、意思の自由を有する被統帥者の精神を準備することなく、率然として統帥命令を与うるも、被統帥者は統帥者の意思を了解し、万難を排し、進んでこれを遂行せんとする熱意を生ぜざるのみならず、その実行に際して行う独断は、往々にして統帥者の意図外に脱逸す。

    精神の準備とは、思想の一致、相互の信頼、状況認識の一致、被統帥者に自信をつけさすこと等をいい、被統帥者が全般の作戦内において、如何なる地位にあり、如何なる価値があるかを了解せしむことも重要なり。学理上完全無欠なる戦略戦術も、統帥の精神効果を無視したるものは実効少なし。生きた人間の集団をして、その威力を発揮せしめんがためには、学理上の多少の利益を犠牲にするは、やむを得ず。

  18. 策をもって準備せられたる被統帥者の精神の効果は一時的にして、しかも後日必ず反動あり。

    人生意気に感ぜしめることが必要。(浪曲主義)

  19. 大軍を統帥するということは、方針を示して後方(補給)を準備することである。
  20. 統帥の根源は指揮官の決心にして、命令は決心実行の重要手段なり。

    命令が実行者を困惑、煩悶せしむること少しとせず。指揮官は命令すべきや否やについて、深甚の考慮を払うを必要とす。最高統帥の命令等は、各軍の指導上有効なるよりは、むしろ妨害となりたること多きは、戦史の訴うる所なり。命令はある予想のもとに下されるものにして、この予想は適中せざることもあり。大兵団の命令にして、実行せられざりしため、却って戦勝をもたらし、実効せられたるために敗戦に陥りたる戦例少なからず。

  21. 会戦は彼我の自由意思の衝突、信念の闘争にして、その勝利は敵の意思と信念とを破壊したるものの手に帰す。これがためには、敵の最も苦痛とする場所と時機において、苦痛とする衝撃を不意に加うること肝要なり。

    敗れたる会戦とは、敗者が敗れたることを自認したる会戦なり。(ジョセフ・ド・メストル)  敵に敗戦を自認せしむるには、敵の全部を打つ要なく、敵の急所に打撃を加えれば可なり。軍は強大なりといえども、一の有機体を構成しありて、必ず苦痛とする所あり。

  22. 会戦においては、彼我共に過失錯誤頻出し、予期せざる事変は随所に発生し、彼我の弱点危機は至る所に頻発するを通常とす。従って会戦の統帥指揮に任ずる者は悲観と楽観との波浪にゆられ、しばしば手に汗を握ることあるべし。故に信念なき者、積極主動の精神に乏しき者は、この悲喜交々の千波万派に翻弄せられて、ついに心理の平衡を失し、統帥の節調を乱し、補うべき戦機も補うる能わず、各兵団の努力を分散消滅するに至らしむ。

    戦争においては、予見や広く見ることは不可能なり。各人は、目前の暗黒中の一時的光明に照し出さるる範囲内の情景によって、活動の方針を定めざるべからず。 戦略的には五里霧中の状況の中でも、ともかくも戦術的利点だけでも押さえこめば、敵状も、敵の出方も明瞭になり、次に打つべき手段が生まれてくる。多くの会戦は、敗れたりと、自ら過早に信ずる者の敗北に帰している。(コンラッズ)

  23. 我敗れるかと感ずる時は、敵もまた敗れるかと思っているときである。夜が明けてみたら、両軍とも負けたと思い、退却していることが少なくない。

「統帥綱領」と「統帥参考」の統帥権について

「統帥綱領」は1928年(昭和3)に日本陸軍の高級指揮官(方面軍司令官・軍司令官)に対して作戦遂行及び国軍統帥の大綱を示すために制定されたものである。敗戦時に軍の最高機密として一切焼却されたと云われる。1962年(昭和37)に偕行社の有志の手で「統帥綱領・統帥参考」として復元刊行されたがやがて絶版となった。その後、偕行社の理事長をされていた大橋武夫先生の手により1972年(昭和47)「統帥綱領」(建帛社)として再刊され、今日まで貴重なロングセラーとなっています。しかし再刊されるにあたり「統帥参考」の統帥権・統帥と政治・その他一部は割愛されています。この原稿(御遺品)「第三篇 本篇に掲げるところは、情勢の大きな変化により、現代に適用することはできないが、参考のため記載する。」に始まるこの数十枚の原稿は遂に世に出ることはなかったものであるが大変重要な原稿(御遺品)です。本来、第一篇や第一章に掲げられたものは割愛(削除)されるようなテーマではなかったはずである。当時の様々な経緯が偲ばれます。

偕行社偕行社 建帛社建帛社 統帥権・削除原稿統帥権・削除原稿
統帥権・削除原稿削除・統帥権 統帥権・削除原稿①削除・統帥権 統帥権・削除原稿②削除・統帥権

大友杏葉

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